台風に強い家は、雨戸の有無だけでは決まりません。屋根、外壁、窓、屋外の物、水の流れ、停電や断水への備えを順に確かめ、公的資料で確認できることと、設計者・施工者に聞くことを分けて考えます。
「雨戸がないと危ないのでは」と迷う人もいるでしょう。気象庁や国土交通省の資料で確認できる範囲を先に分けておくと、図面や見積もりで聞くことが決まります。
この記事では、備えを6つの場所に分け、雨戸がない窓でも使える、気象庁が挙げる窓まわりの備え、岡山市のハザードマップの見方、設計者・施工者への質問を順に載せます。確認できなかった点は「聞く項目」として残しました。
台風への備えは、6つの場所に分けて確かめる
「台風に強い家」と一括りにせず、場所ごとに確かめます。
台風の備えには、風、飛んでくる物、雨水、停電や断水と、いくつかの場面があります。新築では、図面で決める部分と、住み始めてから自分で備える部分の両方が必要です。確かめる相手は場所ごとに異なり、表の右の列に示しました。
| 見る点 | 確かめること | 確かめる相手 |
|---|---|---|
| 屋根 | 屋根材の種類と、固定の方法 | 設計者・施工者 |
| 外壁 | 外壁材と下地の納まり、継ぎ目の処理 | 設計者・施工者 |
| 窓・開口部 | 窓の位置と大きさ、雨戸・シャッターの有無、ガラスの種類 | 設計者・施工者 |
| 屋外の物 | 物置、物干し、鉢植え、カーポートなどの置き場と固定 | 自分・家族 |
| 水の流れ | 雨どい、側溝・排水口、敷地の水はけ、ハザードマップ | 設計者・施工者と自分 |
| 停電・断水・避難 | 明かり、ラジオ、飲み水、避難の経路 | 自分・家族 |
この表は、備えを考える順番の整理です。各部分の効果や性能を示すものではありません。
台風の風は、向きと強さが変わる
気象庁は、台風の風の特性を次のように説明しています。
台風は反時計回りに風が吹く大きな渦で、進行方向の右側は左側より風が強くなります。台風自身の風と、台風を動かす周りの風が同じ向きになるためです。
風向も一定ではありません。台風の中心が自分の地点の西側や北側を通ると、風は東から南、西の順に時計回りで変わります。東側や南側を通る場合は、東から北、西の順に反時計回りで変わる、という説明です。中心の「眼」に入ると風は一時的に弱まりますが、その後、反対向きの強風が吹き返します。
入り江、海峡、岬のような地形や、ビル風でも、風が局地的に強まる場合があります。窓や屋外の物は、複数の向きから風を受ける前提で見直しましょう。
屋根と外壁で、公的資料から確認できること
屋根と外壁は、確認できる範囲が違います。分けて読みます。
瓦屋根は、国の告示基準に施工方法が位置づけられた
国土交通省のページによると、令和4年1月1日から、瓦屋根の設計・施工のガイドラインに準拠した「ガイドライン工法」が建築基準法の告示基準に位置づけられました。新築時の建築物に適用されると書かれています。
この資料の範囲では、瓦以外の屋根材の固定方法や、すでに建っている建物への扱いは確認できていません。瓦を選ぶ場合は、このガイドライン工法で施工するかを聞きます。瓦以外の屋根材では、その材料の施工方法と固定の方法を図面や説明資料で確かめます。
外壁は、資料で示せる範囲が限られる
外壁については、今回確認した公的資料の中に、台風時の固定方法や性能を示せる記載がありませんでした。外壁材の種類、下地の納まり、窓まわりの継ぎ目の処理を、設計者・施工者に確認する項目として残します。
雨戸がない窓でも使える、気象庁が挙げる窓まわりの備え
雨戸のある・なしで強い弱いは決められません。窓まわりの備えを、資料で確認できる範囲で並べます。
気象庁の「自分で行う災害への備え」には、窓や雨戸に関する備えが次のように載っています。雨戸がない窓について、シャッターの後付けやガラスの種類による違いは、今回確認した公的資料からは言えませんでした。そのため、右の列は設計者・施工者に確認する項目としました。
| 対策 | 気象庁の資料で確認できること | 設計者・施工者に確認すること |
|---|---|---|
| 雨戸・シャッター | 窓や雨戸は、しっかり鍵をかけ、必要に応じて補強する | 付ける窓はどれか。後付けはできるか。操作のしかたはどうか |
| 飛散防止フィルム | 窓ガラスに貼る備えとして挙げられている | 貼れるガラスの種類と、貼る範囲はどうか |
| カーテン・ブラインド | 万一の飛来物の飛び込みに備えて、おろしておく | 台風の前に、無理なく閉められる位置か |
| 窓ガラスの種類・シャッターの後付け | 今回確認した資料には、効果を示す記載がない | 製品の試験の条件、窓の大きさや位置との組み合わせはどうか |
この表は、気象庁の資料に載っている備えと、載っていない点の区別です。どの備えで十分かを判断するものではありません。
窓の数、大きさ、位置は、図面の段階で決める項目です。明るさや見た目との兼ね合いもあるため、雨戸を付けない場合は、どの備えを前提にするのかを設計者と先に話しておきます。
岡山で家を建てるなら、先にハザードマップを見る
岡山の土地の台風への備えは、住所ごとの想定を見るところから始めます。
岡山市危機管理室の岡山市WEB版ハザードマップには、洪水と土砂災害、高潮、地震、津波などのマップがあります。候補の土地が岡山市内なら、住所で確かめる流れです。
岡山市以外の土地は、国土交通省と国土地理院のハザードマップポータルサイトが使えます。「重ねるハザードマップ」は、洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク情報などを、住所から地図に重ねて見るものです。「わがまちハザードマップ」は、市町村が公開したマップのリンク集です。
土地ごとに想定が違うため、住所を入れて確かめましょう。内容や読み方で迷うときは、作成した機関への問い合わせがポータルサイトで案内されています。
設計者・施工者に聞く6つの質問
確認できなかった点は、図面や見積もりの打ち合わせで聞きます。
- 屋根材は何で、どの方法で固定しますか。瓦の場合は、ガイドライン工法で施工しますか
- 外壁材の種類と、継ぎ目や窓まわりの納まりを、図面で見せてもらえますか
- 窓の位置と大きさは、どう考えて決めましたか。雨戸やシャッターを付けられる窓はどれですか
- 雨戸がない窓には、どんな備えを前提にしていますか
- 雨どいと敷地の水は、どこへ流れる計画ですか
- 土地のハザードマップの想定は、計画にどう反映されていますか
答えは、資料や試験の条件で裏づけられているかも確かめます。
台風が近づく前に、自分でできる備え
気象庁の災害事例のページで、備えの時期と強風時の行動に触れた記述は、次のとおりです。
平成16年台風第18号の事例を伝えるページに、「もっと早く台風に対する備えを完了し、強風時には屋外へ出ないでいれば被害に遭わなかったのにと悔やまれます。」と書かれています。以下は、気象庁の「自分で行う災害への備え」から、家の外、家の中、避難の3つに分けた内容です。
- 1家の外窓や雨戸の鍵をかけ、必要に応じて補強する。側溝や排水口を掃除する。風で飛ばされそうな物は固定するか、家の中へしまう
- 2家の中窓ガラスに飛散防止フィルムを貼り、カーテンやブラインドをおろす。懐中電灯、乾電池の携帯ラジオ、飲み水を用意し、浴槽に水を張る
- 3避難避難場所への経路を確かめ、家族で避難場所と連絡方法を話し合っておく
窓や間取りを、相談会で一緒に見る
窓の位置や大きさは、間取りとあわせて検討する項目だと考えます。
間取り相談会は、岡山市北区田中の本社で行う予約制の相談です。所要時間は60分ほどで、相談料は0円です。公式ページには「まず、見るだけで大丈夫です」と案内しています。「好き・気になる」と思った間取りを、一緒に見ていきます。
ここに書いた相談会の内容は、公式ページの記載に基づきます。日程や空き状況は、相談会のページで確認してください。
根拠として参照した公開資料
本文の事実は、次の公開資料で確認しました。
- 気象庁「自分で行う災害への備え」(作成:気象庁):窓や雨戸の鍵と補強、飛散防止フィルム、カーテン・ブラインド、屋外の物の固定、側溝の掃除、非常用品、飲み水、避難経路。確認日2026年10月5日
- 気象庁「台風に伴う風の特性」(作成:気象庁):進行方向の右側の風、風向の変化、眼の通過後の吹き返し、地形による局地的な強風。確認日2026年10月5日
- 気象庁「台風による災害の例」(作成:気象庁):平成16年台風第18号の事例のコメント。確認日2026年10月5日
- 国土交通省「瓦屋根の強風対策(ガイドライン工法)について」(作成:国土交通省):令和4年1月1日からの告示基準への位置づけ。新築時の建築物に適用と記載。瓦以外の屋根材と既存の建物の扱いは、この資料では確認していません。確認日2026年10月5日
- ハザードマップポータルサイト(作成:国土交通省 水管理・国土保全局 防災課、国土地理院):「重ねるハザードマップ」「わがまちハザードマップ」の内容。確認日2026年10月5日
- 岡山市WEB版ハザードマップ(作成:岡山市危機管理室):洪水と土砂災害、高潮、地震、津波などのマップ。ページ更新2026年7月24日、確認日2026年10月5日
- ハンズホーム「間取り相談会」:作成者はハンズホーム。対象・予約・所要時間・場所・相談料の記載。確認日2026年10月5日
- ハンズホーム「賢い家づくりセミナー」:作成者はハンズホーム。家づくりの知識を整理できる場の案内。確認日2026年10月5日
よくある質問
台風に強い家について、迷いやすい疑問をまとめます。
台風に強い家にするには、まず何を確認しますか?
屋根、外壁、窓、屋外の物、水の流れ、停電や断水への備えの6つを順に確かめます。土地のハザードマップを先に見て、設計者・施工者には固定方法や窓の計画を図面で聞きます。
雨戸がない家は、台風に弱いですか?
雨戸の有無だけで、強い弱いは判断できません。気象庁は、飛散防止フィルムを貼ることや、カーテン・ブラインドをおろすことを備えに挙げています。窓の位置や大きさ、シャッターの後付けができるかは、設計者・施工者に確認してください。
飛散防止フィルムだけで十分ですか?
今回確認した公的資料には、フィルムだけで十分かを判断できる記載がありません。気象庁は、フィルム、カーテンやブラインド、窓や雨戸の鍵と補強などを並べて挙げています。製品ごとの条件は、施工者に確認してください。
岡山の土地で、台風への備えを確かめる方法はありますか?
土地ごとに、洪水や高潮、土砂災害の想定は異なります。岡山市は、洪水と土砂災害、高潮、地震、津波のWEB版ハザードマップを公開しています。候補の土地の住所で確かめてください。
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